第9支社:ヒンタダ(Hinthada)
1.概要
ヒンタダ支社は主にエーヤワディー地方の鉄道を管轄する。
ヒンタダはエーヤワディー川西岸に位置しており、長らくヤンゴン側のタラウォーとは渡し船にて接続が取られてきた。
フェリーが発着する港はヒンタダ駅より離れており、フェリーに接続する列車が臨港線区間にて運行されていた模様。
なお、現在のヒンタダ〜タラウォーの水路接続は、民間船のみの運行となっている。
本地域で最初に開業したのがヒンタダからパティン(パッティンPathien)へ至る路線で、続いてチャンギン方面が開通している。
余談だが、19世紀末にはDarka川付近でパティン方面から分岐し、ラングーンへ至る路線の建設が検討されたこともあった。
長らくパティンからチャンギンへ至る一本の本線での運行であったが、2008年になり約100年ぶりにチャンギン方面の路線が延伸された。
この新線はチャンギンと第10支社のパコックを結ぶKyangin - Pakkoku Railroad Projectの一環で建設されたものである。
別支社の管轄ではあるが、チャンギンーパコック線の建設の過程でMalunにてエーヤワディー川を越える橋梁が建設され、
ついにヒンタダ地区と東岸の地域の鉄路が接続された。
利用客の減少や災害等の理由によりチャンギン以北へ直通する定期列車の運行は現在行われていないものの、鉄道車両の回送はMalun Junction経由で実施される。
MRの進めた新線計画において、ヒンタダとヤンゴン、パティンとヤンゴンを結ぶ路線の建設も行われた。(Hinthada-Nyaungdon Railway Project, Pathein-Belgarat-Hlinethaya Railway Project)
先にヤンゴンに到達したのはヒンタダ側で、2010年にZalun、2014年にヤンゴンラインタヤまでの区間が開業している。
パティン側は2011年にエインメ(Einme)までの区間が開業している。航空写真からは全区間の線路の敷設は完了している模様。
残念ながらヤンゴンとエーヤワディー地方の各都市への移動はバスが有利となっており、2016年にヒンタダーラインタヤの列車は運休となった。
ただし現在も軌道の保守管理は続けられている模様。
パティン〜ヒンタダ、ヒンタダ〜チャンギンの両区間はそれぞれ3往復運行されており、うち2往復は両区間を通しで運行される。
またパティン側、ヒンタダ側には大学通学の便を向上するためにRBEの区間列車が運行されている。
産業鉄道との接続も以前から存在し、特にチャンギンのセメント工場線は1980年代に日本のODAによる電化プロジェクトが実施された。
Tugyiにもかつて採石場へ延びる鉄道線が存在していた模様。航空写真からはダムの放水路と思われる個所までの区間を確認する事ができる。
ヒンタダの他にパティンやチャンギンにも臨港線が敷設されており、前者は現在使用されていないものの、途中で複数に分岐するなどかつての鉄道全盛期の面影が残っている。
主要機関区はヒンタダ(HZA)で、アルストム製DF1200がまとまった数在籍している。また区間列車用にRBEも在籍している。
また パティンにも機関区があり、エインメ方面と区間列車用にRBEが在籍している。
2.開通時期
1903/3/1 Hinthada - Pathein
1903/3/20 Hinthada Letbadan ※タラウォーへの河川連絡開業の意味か?
1908/12/14 Hinthada - Kyangin
2008/3/2 Kyangin - Ooshitpin
2010/7/21 Hinthada - Zalun
2011/3/20 Begayet - Eimme
2014/5/24 Yangon(Hlaing Thar Yar) - Nyaung Htong - Saekug
建設中:Einme - Set Kot
3.列車
・2022年現在運行再開が報じられている列車
181UP Pathein - Hinthada -
Kyangin (急行)
182DN Kyangin - Hinthada - Pathein (急行)
185UP Pathein -
Hinthada - Kyangin
186DN Kyangin - Hinthada - Pathein
・2020年3月まで運行されていた列車
181UP Pathein - Hinthada - Kyangin 客車列車
182DN Kyangin - Hinthada - Pathein 客車列車
185UP Pathein - Hinthada - Kyangin 客車列車
186DN Kyangin - Hinthada - Pathein 客車列車
187UP Pathein - Hinthada 客車列車
188DN Hinthada - Pathein 客車列車
189UP Hinthada - Kyangin 客車列車
190DN Kyangin - Hinthada 客車列車
Natmauk1 Hinthada - Natmauk RBE列車
Natmauk2 Natmauk - Hinthada RBE列車
Pathein1 Pathein - Ta Kone Gyi RBE列車
Pathein2 Ta Kone Gyi - Pathein RBE列車
・現在は運行されていない列車
179UP Hlaing Tar Yar - Hinthada (~2016/6/10) 客車列車→RBE列車
180DN Hinthada - Hlaing Tar Yar (~2016/6/10) 客車列車→RBE列車
183UP Hinthada - Kyangin - Okeshitpin - Payapaw (~2016/6/10) RBE列車
184DN Payapaw - Okeshitpin - Kyangin - Hinthada (~2016/6/10) RBE列車
Einme1 Einme - Pathein RBE列車
Einme2 Pathein - Einme RBE列車
列車番号不明:Pathein - Darka ※Einme1/2に発展的消滅?カーヤター
Hinthada - Tugyiのカーヤター
Hinthada - フェリー港へのシャトル列車(1962年時点で運行、運休時期不明)
4.施設・沿線風景
列車が到着すると、ヒンタダ駅のホームは活気づく。 | |
チャンギン方面で交換する189UP. | |
チャンギン方面の車窓。 | |
パティン方面の車窓。エーヤワディー川がもたらした豊かな水田地帯が続く。 | |
高床式住居も多くみられる。 | |
Darka駅の転車台。RBEが転入する前はレールバスが運行されていた模様。 | |
パティン駅に到着した182DN. |
<参考資料>
・ミャンマー国鉄公式サイト(路線開業日一覧)
・New Light of Myanmar