第8支社:モーラミャイン(Mawlamyine)
1.概要
Division8は、主にモン州とタニンダーリ管区の路線を管轄する、ミャンマー最南部の支社である。
この地域の鉄道は、長らくモッタマ(マルタバン)とモーラミャインの間を流れるタンルィン(サルウィン)川によって分断されてきた。
両都市間はフェリーによって接続が取られた。2005年に道路と鉄道の併用橋である大橋梁が竣工した。
バゴー方面からモッタマの沿線にある名所と言えば、ゴールデンロックで有名なチャイティーヨーの玄関口となるチャイトーKyaiktoである。
この都市へは、一時期ではあったが、元キハ181系を使用したヤンゴンからの特別列車が運行されたこともあった。
ニンパレHninpaleとタトンThatonからは工場線が分岐しており、後者はカヤー州パアンの対岸のミャンガレーを結んでいた。
バゴー〜モーラミャイン間には、ヤンゴンからの直通列車三往復(うち一往復はイェへ直通)、ローカル列車一往復、シッタン川から短絡線を通り、ネピドーを発着する列車一往復(ヤンゴンーマンダレー線高度化工事に伴い運休中)が運行されている。
この区間はアジア開発銀行(ADB)からの援助によって軌道の強化工事が実施されており、途中駅にはロングレールの溶接所を備えている個所も存在する。
モーラミャインの駅はタンルィン川橋梁の開通時に、市内南部から東部へ移転している。
ここからイェYe方面へ南下していくにあたって、忘れてはならない町がタンビュザヤだ。
この町は泰緬鉄道のビルマ側の分岐点であり、現在この鉄道の歴史を今に伝える博物館が公開されている。
この博物館には、最後までミャンマー側で運行されていたC56形蒸気機関車も展示されている。
モーラミャイン〜イェ間にはヤンゴンからの直通列車が一往復、ローカル列車が一往復運行されている。
かつては同区間のみの急行列車や、レールバスによる区間列車も運行されていた。
1990年代に入って、ダウェー方面への路線延伸が実施された。ダウェー側より建設が進められ、2003年にイェの橋梁が開通したことによって、既存路線と接続が取られた。
イェ以南は山岳地帯を走行するため、ヤンゴンとの直通列車175UP/176DNは、同駅で小型客車の編成と乗り換えとなる。
2000年代に入って策定された全国的な路線延伸計画では、鉄道はさらに南のメイMeikまでの建設が予定された。
ただし開業はダウェー郊外のタエッチャウンThayetkyaungまでとなっており、既に運休となっている。
主要機関区はモーラミャインである。モッタマにも業務列車やSLチャーター等の運行時のために、機関区が残っている。
2.開通時期
1907/8/15 Sittaung - Kyaikto
1907/9/14 Kyaikto - Kokadwa
1907/9/25 Kokadwa - Mottama
1907/10/12
Mottama - Mottama Port
1923/8/2 Mawlamyine - Mudon
1924/2/1 Mudon -
Kalothwa
1924/4/24 Kalothwa - Thanbyuzayat
1924/7/1 Thanbyuzayat - Kaloppi
1924/10/23 Kaloppi - Tinyu
1925/1/17 Tinyu - Lamain
1925/4/16 Lamain - Ye
1988/3/27 Thaton - Myangalay
1995/5/30 Dawei - Yebyu
1998/3/26 Yebyu -
Kaloggyi
2003/11/25 Ye Bridge
2006/4/17 Thanlwin Bridge
2011/6/4 Dawei
- Thayechaung
3.列車
・2023年現在運行再開が報じられている列車
81UP Yangon - Bago -
Mawlamyine RBE列車
82DN Mawlamyine - Bago - Yangon RBE列車
89UP Yangon - Bago
- Mawlamyine
90DN Mawlamyine - Bago - Yangon
・2020年3月まで運行されていた列車
(16DN-)15UP Mawlamyine - Daik-U - Naypyitaw 客車列車※2019年10月1日より一時運休中
18DN(-17UP) Naypyitaw -
Daik-U - Mawlamyine 客車列車※2019年10月1日より一時運休中
35UP Yangon - Bago - Mawlamyine 客車列車※2019年10月1日より一時運休中
36DN
Mawlamyine - Bago - Yangon 客車列車※2019年10月1日より一時運休中
85UP Bago - Mawlamyine 混合列車
86DN
Mawlamyine - Bago 混合列車
89UP Yangon - Bago - Mawlamyine 客車列車
90DN
Mawlamyine - Bago - Yangon 客車列車
171UP Mawlamyine - Ye 客車列車(173UP/174DN運行時は急行)
172DN Ye - Mawlamyine 客車列車(173UP/174DN運行時は急行)
175UP Yangon - Bago -
Mawlamyine - Ye - Dawei 客車列車、Yeで乗換
176DN Dawei - Ye - Mawlamyine - Bago -
Yangon 客車列車、Yeで乗換
・かつて運行されていた列車
Kyaikto1 Yangon - Bago - Kyaikto
RBE列車(Kyaikto Special Express Train, 2013/9/7~2014/12/28運行)
Kyaikto2 Kyaikto
- Bago - Yangon RBE列車(Kyaikto Special Express Train, 2013/9/7~2014/12/28運行)
171UP Mawlamyine - Ye 急行、RBE列車(RBE投入前は各駅停車、2015年後半から休止)
172DN Ye -
Mawlamyine 急行、RBE列車(RBE投入前は各駅停車、2015年後半から休止)
T-807 Mawlamyine - Thanbyuzayat
カーヤター(1999年時点で運行)
T-808 Thanbyuzayat - Mawlamyine カーヤター(1999年時点で運行)※
Tha811UP Yebyu – Dawei カーヤター(ダウェー開通当初の列車、D1Bで運行)
Tha812DN Dawei – Yebyu カーヤター(ダウェー開通当初の列車、D1Bで運行)
Tha813UP Yebyu – Dawei カーヤター(ダウェー開通当初の列車、D1Bで運行)
Tha814DN Dawei – Yebyu カーヤター(ダウェー開通当初の列車、D1Bで運行)
列車番号不明 Thaton - Myangalay
列車番号不明 Chaungtaung - Komei カーヤター(Ye以南接続前、1999年時点で運行)
列車番号不明 Dawei -
Thayetchaung RBE列車(2012年中旬〜後半に運休)
※出典の「ミャンマーの日野グース」(RM198号)ではモーラミャイン発タンビュザヤ着となっているが、発着は逆の誤植と思われる。
'T-'はカーヤターの列車番号を指すとされるビルマ文字のThaのことであると思われる。
4.施設・沿線風景
モーラミャイン市内を一望することができるチャイッタランパゴダより、タンルィン川橋梁へのアプローチ部を望む。 | |
早朝のモーラミャイン駅に停車するイェ行の列車。 | |
朝もやの中を列車は南下する。イェまでは平野部を走行し、水田地帯やゴム林も見られる。 | |
イェから先はタニンダーリ管区に入り、山間部を進んでゆく。急カーブも多いため、小型の客車列車へ乗換となる。 | |
日没後に終点のダウェーへ到着する。暗いプラットホームには、一日一本のチャンスを逃すまいと多数のバイクタクシーの運転手が待ち構える。 |
<参考資料>
・ミャンマー国鉄旧公式サイト(路線開業日一覧)
・『鉄道百年史』(ビルマ語文献)
・「ミャンマーの日野グース」Rail Magazine198号(2000年3月号)