第3支社:マンダレー(Mandalay)
1.概要
※ヤンゴンーマンダレー線は別ページにまとめます。
マンダレー支社はマンダレー近郊の路線と、シャン州ラーショーへの路線を管轄している。
マンダレーへと鉄路が延伸されたのは、ミャンマーの鉄道開通から約12年後の1889年である。
スイッチバックする形で鉄道は北のミッチーナーへと建設が進められた。
続いてマンダレーからは東のピンウールィン(メイミョー)、シャン州の中国国境に近いラーショーへと山岳鉄道が建設された。
20世紀前半にはマダヤ軽便鉄道(1912年開業)の編入、エーヤワディー川沿いの都市ミンジャン方面への延伸が行われた。
第二次世界大戦の影響で、サガインとマンダレーの間に流れるエーヤワディー川に架けられていた橋梁が破壊された。
1954年にアヴァ橋梁が完成し、再度両都市の鉄路による接続が取られた。
ヤンゴン・マンダレー線の複線化において、マンダレー側は1990年代に入るまで工事が実施されてこなかった。
しかし、近年は民間企業による海上コンテナターミナルの建設もあり、マンダレー側の鉄道も特に貨物面での重要性が高まりつつある。
1990年代に入り、マンダレー市内路線が合計3区間(西環状線、東環状線、マンダレーヒル線)整備された。
現在は東環状線の西部と、マンダレーヒル線の区間がマダヤ線の列車送り込みを兼ねて運行されている。
かつてはマンダレー王宮西側を鉄道線が貫通しており、王宮内への物資輸送の他、マダヤ線方面との接続が取られていた。
また1990年代の一時期は王宮内部にも観光用のミニ鉄道が敷設され、営業していた。現在は王宮周辺部に観光客は立ち入ることができないが、遠目に廃線跡や使用されていた車両を確認できる。
余談ではあるが、第二次世界大戦前はマンダレーでも路面電車が運行されていた。
ピンウールィン・ラーショー方面は山岳地帯を越える路線であり、ピンウールィン手前の峠にはスイッチバックで進行してゆく区間がある。
ピンウールィンからさらに東へ進むと世界屈指の大橋梁であるゴッティ鉄橋があり、ゆっくりと列車は進む。
シーポーHsipawは観光客に人気の高原地帯であり、ツアー客の乗降も見られる。
ラーショー手前の沿線にはナムツNamtuの鉱山鉄道があり、蒸気機関車などが世界中の鉄道ファンからの注目を浴びている。
列車は険しい川沿いを走るため、雨季には全区間の走破に一晩かかる事もある他、災害などでの運休が発生する事もある。
マンダレーから北に位置する町であるマダヤMadayaへの需要は高く、並走する民間バスとの競合があるものの多くの利用客がある。
沿線には精霊祭りで有名なタウンビョンTaungpyoneの町があり、8月の満月の時期は臨時列車が運行されるほどの賑わいがある。
マダヤ線の起点であるターイゼーTayezeの近くには市場があり、その一部は線路にまではみ出して営業が行われている。その混沌とした光景を見ようとここを訪れる観光客も増えてきている。
主要機関区はマンダレー(MDY)である。その他としては、ピンウールィン(POL)ミンジャンMyingyanが挙げられる。
MDYはマンダレー〜ミッチーナーを通しで運行する列車と、バガン方面、マダヤ線等の列車を担当している。
POLはラーショー方面の路線を担当している。 ミンジャンはかつては蒸気機関車の機関区であり、現在は区間列車用RBEが在籍している。
ミンゲ(MIT)には大規模な鉄道車両工場が操業しており、客貨車の整備や製造(RBEの改造レーンも併設)などが行われている。
ミョハン(MOH)には貨物ターミナルがあり、マンダレー方面への貨物列車の大半はここを発着している模様。
マンダレー駅北側にも荷扱いのゾーンがある他、ミンゲやパレイッPaleik付近にコンテナヤードの整備も行われている。
2.開通時期
1889/3/1 Yamethin - Mandalay
1889/4/13 Mandalay - Mandalay Port
1898/1 Myohaung - Sedo
1900/4/1
Sedo - PinOolwin
1900/5/20 PinOolwin - Nyaungkyo
1901/6/1 Nyaungkyo -
Hsipow
1903/3/1 Hsipow - Lashio
1927/2/5 Mandalay - Madaya
1929/10/5 Paleik - Tada-U
1930/1/13 Tada-U - Myingyan
1990/1/4 Mandalay Western Circular Line
1990/5/1 Eastern Circular Line
1991/2/15 Tada U - Myotha
1992/7/2 Mandalay- Circular (Hill) Line
1999/8/31 Tada U-Mandalay Airport
ヤンゴンーマンダレー線の複線化
1996/1/5 Myohaung-Myitnge
2006/6/25 Myitnge-Kyaukse
2016/8/19 Myitnge川橋梁
3.列車
※ヤンゴン‐マンダレー線の列車は別ページにまとめます。
※マンダレー‐ミッチーナー線の列車は別ページにまとめます。サガイン以南の区間で多数の列車が乗り入れていました。
この他にも、貨物列車や業務列車が多数運行されています。
・2022年時点で運行再開が報じられた列車
マンダレー〜ラーショー1往復
マンダレー〜ターイゼー〜マダヤ1往復
この他、ラーショー方面でゴッティ橋梁を巡る観光列車の運行予定が報じられている。
・2020年3月まで運行されていた列車
115UP Myingyan - Myotha RBE列車
116DN Myotha - Myingyan RBE列車
117UP Bagan - Myingyan - Mandalay 客車列車(鈍行)
118DN Mandalay - Myingyan - Bagan 客車列車(鈍行)
119UP Bagan - Myingyan - Mandalay 客車列車(急行)※2014/8/5~2017年初頭?はRBE列車
120DN Mandalay - Myingyan - Bagan 客車列車(急行)※2014/8/5~2017年初頭?はRBE列車
123UP Mandalay - Ywa-Htaung - Monywa RBE列車
124DN Monywa - Ywa-Htaung - Mandalay RBE列車
131UP Mandalay - Pyin Oo Lwin - Lashio 客車列車
132DN Lashio - Pyin Oo Lwin - Mandalay 客車列車
ma-41 Mandalay - Oo Bo - Thayeze - Madaya
ma-42 Madaya - Thayeze
ma-43 Thayeze - Madaya
ma-44 Madaya - Thayeze - Oo Bo - Mandalay マダヤ線は全て客車列車
・現在は運行されていない列車
135UP Mandalay - Ywa-Htaung - Pakkoku 混合列車?→RBE列車
136DN Pakkoku - Ywa-Htaung - Mandalay 混合列車?→RBE列車
マダヤ線昼の一往復(Thayeze - Madaya間、2016年8月ごろより運休)※祭典時には臨時列車として近いスジで運行される事もある。
マンダレー〜ピィンウールィン、ピンウールィン〜ラーショーの各一往復(1997年頃は運行、運休時期不明)
マンダレー〜Tada-U〜空港線(Tada-Uまでは1997年時点で数往復運行、運休時期不明)
マンダレー市内各線(マダヤ線への送り込み区間となる、Thoe Gyan〜Oh Bo間を除いて全て廃止、運行実態と運休時期不明)
マンダレー王宮内鉄道(1990年代初頭に観光用として整備、使用されていた車両は王宮周辺の公園部にて展示、但し現在は立入禁止なので注意)
4.施設・沿線風景
マンダレー市内
マンダレー〜ラーショー線
マンダレーを早朝に出発した列車は、太陽が昇る頃に山岳地帯へ入る。 | |
スイッチバック区間の様子。 | |
朝のスイッチバック駅。地元の利用客も見られる。 | |
朝8時〜9時ごろにピンウールィンへ到着する。 ここで客車2両を増結する。機関車には滑り止めの砂が補充される。 |
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ピンウールィン駅。 | |
この路線の最大の見どころは、なんといってもゴッティ鉄橋だ。 大渓谷へ蛇行しながら近づくにつれて、その姿が車窓に現れる。 どちら側の席であっても車内から見ることができる。 |
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ゴッティ鉄橋の下には、保線用の軌道も設置されている。 | |
ゴッティ鉄橋からの眺め。 | |
チャウッメー駅にて。 | |
チャウッメー駅の売店。 | |
高原地帯を行く。 ラーショーに近づくにつれて、川と並走する区間も存在する。 |
マダヤ線
ターイゼー駅に停車する列車。かつては後方の王宮内にも軌道が貫通して敷設されており、マンダレー駅と一直線で結ばれていた。 | |
ターイゼー線を北上する列車。マンダレー市内東部を回って、ターイゼーへ向かう。 | |
マダヤ駅。 | |
マダヤ駅に停車中の列車。 | |
水田地帯の平野部をゆっくりと進む。 |
<参考資料>
・ミャンマー国鉄旧公式サイト(路線開業日一覧)
・『鉄道百年史』(ビルマ語文献)