アルストムDF1200
1958年から1987年にかけて、アルストム製電気式ディーゼル機関車が合計151機(900ps: 29, 1200ps: 61, 1600ps: 45, 2000ps: 15) が導入された。
最終増備から30年が経過した2017年においても、アルストムは最多数派となっている。
また、電気式はMRの主流となっているのみならず、機関車の国産化においても同社の機関車がベースとなるなど、長年にわたりアルストムの機関車はミャンマーにおいて重要な役割を担ってきている。
ここでは最初に導入された、1200馬力級のDF1200について取り扱う。
1. アルストムのDF1200について
1950年代に入り、世界銀行の援助によってビルマの鉄道の動力近代化が行われた。その一環で1958年にビルマ初となるディーゼル機関車が6両導入された。
製造事業者はフランスのアルストム、導入当初の形式は’BBB DE001〜006’という現在とは異なる法則であった.
1960年代初頭、少なくとも二次型導入までに6両の機関車の形式は現在も使用されている、動軸+馬力数の付番法則に改められた.
1985年までに、この1200馬力級のBo-Bo-Bo軸配置の機関車は大きく分けて3段階、合計61両が増備された。
電気式ディーゼル機関車は主に下ビルマで用いられており、DF1200は特にヤンゴンとその周辺で見ることが多い。
DRC、マルァゴン(MLG)、バゴー(Bago)、ヒンタダ(HZA) 、モーラミャイン(MLM)、モッタマ(MTBN) 、タウングー(TGO)、ピンマナ(PMA)の各機関区に配置されている。
DF1200各タイプ諸元
形式・車番 | DF1201~06 | DF1207~33 | DF1234~1238 | DF1239~1253 | DF1254~57 | DF1258~61 |
動力伝達方式 | 電気式 | |||||
運行開始年 | 1958 | 1964 | 1969 | 1970 | 1984 | 1985 |
車体 | セミセンターキャブ | 箱型両運転台 | ||||
軸配置 | Bo-Bo-Bo | |||||
運転整備重量(トン) | 63.6 | 62 | 66 | * | ||
連結面間距離(mm) | 13462 | 14782.8 | 13400 | * | ||
車体長(mm) | 12065 | 13385.8 | * | |||
車体屋根高(mm) | 3505.2 | 3479.8 | 3450 | * | ||
車体幅(mm) | 2489.2 | 2749.55 | 2816 | * | ||
最高速度(km/h) | 89 | 88.5 | * | |||
エンジン形式 |
V16ASHR |
V12BZSHR | V12RVR | |||
機関出力(馬力) | 1185 | 1200 | 1400 | * | ||
最大引張力(kg) | 17495 | 20500 | 19680 | * | ||
定格牽引力(kg) | 10600 | 13200 | 12695 | * |
DF1228(MLM)のボギー台車。 DF1200の台車は他の機関車と比べてシンプルな構成だ。
DF1212の増設ライトユニット部。大半の機関車が、後年腰部にライトユニットを取り付けている。しかし、部品等の払底からか、使用されず埋められている車両も多い。
2. タイプ別解説
先述した通りアルストムのDF1200は長期間にわたって増備された。
1次型は他とは異なりセミセンターキャブの車体である。
2次型以降車体は箱型に変更された。同時期にカンボジアで導入されたアルストム機(前面に装甲鉄板を張り付けていた事で知られている)とほぼ同じ車体である。
1970年に入り、全面窓部が楔形に変更され、それ以降のMRの箱型機関車の標準的なスタイルとなっている。
増備途中でライトユニットや側面グリル形状などが設置/変更されているようだが、MRでは工場入場時に必要に応じて車体や台枠レベルでのパーツ入換が行われており、
現時点での車番と導入時の仕様は一致していないことがある.
特にライトユニットは機関車の表情を大きく特徴づけるものであり、以下で紹介する車両はほんの一例でしかないことをお断りする.
ビルマで初のディーゼル機関車として、BBB DE001〜006の6両が1957年に導入された。これら6両は翌1958年初頭よりラングーン〜マンダレー間の急行列車に投入された。
導入当初の車体は、Bo-Bo-Bo軸配置のDF1300といった雰囲気であった。
第二次増備グループの導入時までに、一次形は現在の附番法則に改められている.
1980年代に入り、このグループは車体更新を受け、運転台側のボンネットが低く下げられた。また1986年にDF1204はDF1262へ改番されている。
製造当初搭載されていた機関はV16 ASHRで、1984年から1986年にかけて、全機がSACM 175V12 RVRに換装している。
製造から60年が経過しているものの、ビルマの最古参DLは全機が現存し下ビルマ各地で稼働している。
※カレー配置のLRBE (Loco Rail Bus Engine)36は、本タイプの車体を参考にしたものと思われる。
第2グループ(1964〜1970)
(1)DF1207~1233 (1964)
DF1213(DRC)
2次型以降は車体が箱型となった。エンジンもV12BZSHRへ変更されている。
同時期に製造されたカンボジア向け機関車も同様のスタイルである.
導入当初は前照灯は上部のみであり、台枠スカート部に尾灯が取り付けられていた.
(2)DF1234, 1235~1238 (1969)
DF1238(MLG→DRC)
1969年にも同仕様車が5両導入された。
第3グループ(1984~1985)
(1)DF1254~1257 (1984)
DF1255(DRC)
14年ぶりに増備が再開された。機関はV12RVRである。
(2)DF1258~1261 (1985)
DF1259(DRC)
DF1261(HZA)
1985年にも4両が増備された。
後半の増備車両は、運転台窓が傾斜した仕様となっており、これが以降に導入された中国製機関車にも受け継がれている.
ギャラリー
<参考資料>
・Almec Corporation, Oriental Consultants Co.,Ltd., Nippon Koei Co.,Ltd. "YUTRA pre-feasibility study on the Yangon circular railway modernization project - final report"
Burma
Railway Board "Yearbook 1960."