切符コーナー

2013年以降に乗車した列車の切符を紹介します。

1.切符について
MRには全国的な予約システムが構築されておらず、基本的に各駅の窓口で切符を購入することとなる。
地方新線や一部ローカル列車には無人駅も多くみられ、そこから乗車する際は車内で車掌が清算対応をする。

基本的に切符は発車15分前から発売を開始する。
長距離列車の場合、主要駅では3日〜1日前から予約を受け付けている。列車ごとに窓口が分けられており、予約カウンターも当日の販売窓口とは異なる場所に設置されている場合がある。

長距離列車では発駅ごとに座席の割り当てが決められており、各駅の窓口では座席表に乗客の情報を書き込む形で予約を管理している。
このため、寝台車などの予約は早期に埋まりやすい一方で、あまり乗降の少ない(=座席枠が埋まりにくい)駅から乗車する場合、より良い等級への乗車を購入時に勧められることもある。

乗車後は随時車掌が車内を巡回し検札を行う。チェックは青ボールペンで適当に線を書くというもの。
一応下車時に切符は駅または車掌が回収することとなっている模様。マグウェ管区の線区では回収が徹底されている。また乗客の中には律義に切符を提出する者もいる。
駅構内も出入りが自由であるためか、切符を提出せずに駅を出ても止められることはほとんどない。こうして旅の記録として集まってきたのが、以下でで紹介する切符の数々である。

2.一般的な切符
(1)硬券

MRで最も一般的な切符がこの硬券である。
サイズは日本でいう所の「A型券」に近く、約29mm×56mm. 厚紙のような紙質である。
表面(左)には上から
通し番号(2740)
座席等級(オーディナリークラス)
区間(ターイェゼー〜マダヤ)
運賃(150チャット)
と情報が印字されている。
裏面(右)には日付が入れられる。
画像はマダヤ線のもの。


こちらは座席指定のあったミッチーナー→モガウン列車のもの。
裏面には号車番号(2号車)と座席番号(3番)が記載される。


(2)常備券

主要な長距離列車には、利用頻度の高い区間が記載された切符が用意されていることもある。
画像は4DNにターズィから乗車した時のもので、出札が記入するのはパスポート番号と座席番号、日付程度で発券の手間が軽減されている。


こちらはマンダレー→バガンのファーストクラス座席の切符。


表記がすべてビルマ語となっているものも存在する。
これはサトワ→ピィのファーストクラス座席の切符。


(3)外国人用切符

外国人にとって手渡されることが多いのが外国人用切符である。外国人が窓口に並んだ場合、どんなに混んでいようがカウンター裏に案内され、パスポートを提出してこのような切符を発券してもらうことが多い。
手書きの領収書サイズの大きさの紙面に諸情報が書き込まれる。領収書のようにカーボン紙を介して記入するため、駅側も発券情報を残すことができる。
空きスペースには名前とパスポート番号の他、座席番号や発車時刻、プラットホーム番号等も記載される。
旅行者が迷わないために、発券時に出札係員は必ず券面の時刻・座席・ホーム番号を示しながら手渡す。


3.ヤンゴン地区の切符
ヤンゴン近郊区間の切符は距離や車両タイプに合わせて複数の運賃が設定されてきた。
発行される切符の多くは名刺に近いサイズで、硬券よりも見やすい様式となっている。
発券時には発行年月日の他に、有効時間(4時間以内)のスタンプが押される。切符の使い回しによる不正乗車を防止するためと思われる。
乗車後は随時車掌が車内を回り、ペンで適当に線の印をつけて検札する。

2010年代だけに着目するだけでも、様々な車両の投入や運行の見直しによってバラエティに富む種類の切符が発行されてきた。

(1)現行の切符(2019?〜)


2016年7月1日以降のヤンゴン地区運賃改定によって、ヤンゴン近郊区間の運賃は距離によって100チャット、200チャットの二段階制となった。
発行される切符は改定後も後述する既存の在庫や方式を使い回していたが、2019年頃より白地のものが発行されるようになった。
上に挙げた画像はいずれも環状線一周(200チャット)のもので、特に短距離でもない場合は乗車区間に関わらずこのタイプが発行された。

(2)50,100チャット券

50チャット券(パヤーラン→チャイカレー、2016年)



100チャット券(オッチン→タダ―ガレー、2016年)
赤字で表記されているタイプ。


黒字表記タイプの50チャット券(マルァゴン→オウッポス)


50チャット運賃廃止後の2016年9月に発券された切符。
在庫処分のため、値段を印鑑で100チャットに訂正している。


(3)200,300チャット券

ヤンゴン地区に新車の客車が「特別車」として投入された2013〜4年以降、黄色地の200チャット切符の流通が始まった。


キハ181系から元JR東海キハ40系列の投入までの2013年後半〜2016年前半はヤンゴン地区で冷房を使用した列車が運行されており、該当列車の運賃は300チャットであった。
こちらの券面は涼しげな水色地だった。


冷房の使用が停止されてから4年が経過しているが、一部駅では2020年現在でも金額を200チャットに訂正して元300チャット券の発行が続けられている。


(4)レシート券



2015年5月6日よりヤンゴン地区の15駅にて、係員が端末を操作し発券する業務の一部電子化が実施された。
発券される切符は感熱紙に印字されたいわゆるレシート状のものとなった。
経年劣化で大変見苦しいが、上が50チャット、下が100チャット券。

4.その他の切符
・ミッソンマンダラ―号

2014年12月22日〜2019年12月22日まで、Kchin State Public Companyによって運行された、マンダレー〜ミッチーナー間の急行列車37/38DNの切符。
この列車は予約業務を民間企業が行い、列車の運行をMRが担当するという構図の民間委託で運行された。
そのため、駅の発券窓口も他の列車とは異なる場所に設置されており、切符の様式もMRとは異なるものであった。

・二名切符

ヤンゴン地区では二名用の切符を常備している駅も存在する。
これは運賃50チャット区間のもので、100チャット一名分の代替として手渡された。

・車内精算時の対応
MRでは多くの駅が有人駅なので、基本的に窓口で切符を購入してから乗車する。
地方には無人駅・停留所も多く、そこから乗車する際は車掌によって車内精算の対応が取られる。

何らかの事情で切符を購入できなかったり、無賃乗車が発覚した場合は当然車掌が清算対応をするが、この時に手渡される補充券は「罰金切符」という、これまで紹介したものとは異なる大きさの白地券である。
特にヤンゴン地区で不正乗車が発覚した場合は割増の金額が徴収されるので、たかが200チャット、笊な検札と思わずに必ず切符は駅で購入してから乗車すること。


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